立夏から立秋の前日までの三ヶ月間、日本の自然と文化は夏ならではの豊かな表情を見せます。古人たちが夏の季節を表現するために紡ぎ出した、言葉の美しさに満ちた日本語表現を95選ご紹介します。各言葉の説明には、実際に掲載されている例句や古典への記載を根拠としております。
夏の時間帯と季節感に関する表現
1. 夏(なつ)—立夏から立秋の前日までの季節。新暦では5月6日頃から8月7日頃までを指す。《季 夏》
2. 夏浅し(なつあさし)—春から夏へ変わりゆく初夏の季節感を表現する。
3. 夏めく(なつめく)—季節が夏らしくなっていく様子。
4. 初夏(しょか)—夏の始まり。立夏から清明までの時期。
5. 薄暑(はくしょ)—初夏のまだ厳しくない暑さ。
6. 仲夏(ちゅうか)—夏の最も暑い時期。
7. 晩夏(ばんか)—夏の終わり。立秋が近づく時期。
8. 盛夏(せいか)—夏の最も暑い盛り。
9. 夏の暁(なつのあかつき)—夏の明け方。
10. 夏の夕(なつのゆう)—夏の夕方。
11. 夏の夜(なつのよ)—夏の夜。《季 夏》
12. 夏の宵(なつのよい)—夏の宵。
13. 短夜(たんや)—初夏から仲夏にかけて、昼間が長く夜が短くなること。《季 夏》
14. 明易(あけやすい)—春から初夏にかけて、明け方が早くなること。
15. 暑し(あつし)—夏の暑さを表現する。《季 夏》
16. 暑き日(あつきひ)—暑い日。
17. 涼し(すずし)—夏に感じられる涼しさ。《季 夏》
夏の天候と気象に関する表現
18. 青嵐(あおあらし)—初夏の青葉の中を吹く涼しい風。《季 夏》コトバンクに掲載されている例句に「城山の浮み上るや青嵐/正岡子規」があり、「千年の礎を吹く青嵐/臼田亜浪」も確認されています。
19. 風薫る(かぜかおる)—初夏に吹く爽やかな風。
20. 夏風(なつかぜ)—夏に吹く風。《季 夏》
21. 南風(みなみかぜ)—夏に吹く南からの風。
22. やませ(山背)—初夏に東北地方に吹く冷たい風。
23. あいの風(相風)—初夏に吹く風。
24. 土用凪(どようなぎ)—晩夏の土用の時期に風がやむこと。
25. 雷(かみなり)—夏の激しい雷。《季 夏》
26. 雷雨(らいう)—雷を伴う雨。
27. 遠雷(えんらい)—遠くで鳴る雷。
28. 日雷(ひらい)—昼間に鳴る雷。
29. 雹(ひょう)—夏に降ることもある氷の粒。
30. 夕立(ゆうだち)—夏の夕方に急に降る激しい雨。《季 夏》
31. 夕立雲(ゆうだちぐも)—夕立をもたらす雲。
32. 驟雨(しゅうう)—激しく降る雨。
33. 夏の雨(なつのあめ)—夏に降る雨。《季 夏》
34. 梅雨(つゆ)—初夏から仲夏にかけて降る長雨。《季 夏》
35. 五月雨(さみだれ)—陰暦五月に降る雨。現代では梅雨を表す。《季 夏》
36. 梅雨明け(つゆあけ)—梅雨が終わり、夏らしい天候になること。
37. 入梅(にゅうばい)—梅雨の季節に入ること。
38. 梅雨寒し(つゆさむし)—梅雨の時期に気温が低いこと。
39. 虹(にじ)—夏の雨後に見える虹。《季 夏》
40. 雲の峰(くものみね)—夏に空高く湧き上がる積雲。《季 夏》
41. 入道雲(にゅうどうぐも)—夏に空高く湧き上がる雲。
42. 夏霞(なつがすみ)—夏の霞。
43. 夏の霧(なつのきり)—夏に出る霧。
44. 夏の雲(なつのくも)—夏に浮かぶ雲。《季 夏》
45. 夏の空(なつのそら)—夏の空。《季 夏》
46. 夏の月(なつのつき)—夏に見える月。《季 夏》
47. 夏の星(なつのほし)—夏に見える星。《季 夏》
48. 夏の露(なつのつゆ)—夏に見られる露。《季 夏》
49. 炎天(えんてん)—暑い日差し。《季 夏》
50. 日盛(ひもり)—日中の最も暑い時間。
51. 炎昼(えんちゅう)—暑い昼間。
52. 西日(にしび)—夏の暑い西日。
53. 夕焼け(ゆうやけ)—夏の夕方に赤く見える空。
54. 朝焼け(あさやけ)—夏の朝に見える空。
55. 朝曇(あさぐもり)—朝に曇ること。
56. 油照(あぶらてり)—夏の蒸し蒸しした天気。
57. 逃げ水(にげみず)—夏の地面から見える蜃気楼のような現象。
58. 土用(どよう)—晩夏の季節の最後の約18日間。《季 夏》
59. 三伏(さんぷく)—夏至後の第三の庚の日(初伏)、第四の庚の日(中伏)、立秋後の第一の庚の日(末伏)を合わせたもの。
60. 大暑(たいしょ)—二十四節気の一つ。晩夏の最も暑い時期。
61. 小暑(しょうしょ)—二十四節気の一つ。晩夏の暑さが本格的になる時期。
62. 冷夏(れいか)—例年より気温が低い夏。
夏の地理と自然に関する表現
63. 夏の海(なつのうみ)—夏に見える海。《季 夏》
「島々や千々に砕けて夏の海/松尾芭蕉」があります。
64. 夏の川(なつのかわ)—夏に見える川。《季 夏》
65. 夏の水(なつのみず)—夏に見える水。
66. 夏の潮(なつのしお)—夏の潮。
67. 夏の波(なつのなみ)—夏に見える波。
68. 夏の山(なつのやま)—夏の山。《季 夏》
69. 夏の野(なつのの)—夏の野。《季 夏》
70. 山滴る(やましたたる)—夏、雨後に山々から水が滴り落ちる様子。
71. 夏野(なつの)—夏の野。
72. 夏の庭(なつのにわ)—夏の庭。
73. 夏の浜(なつのはま)—夏の浜辺。
74. 清水(しみず)—夏の清らかな水。
75. 泉(いずみ)—夏に涼しさをもたらす泉。
76. 滝(たき)—夏に涼しさを感じさせる滝。
77. 滴り(したたり)—夏の滴る水。
78. 夏富士(なつふじ)—夏に見える富士山。
79. 植田(うえた)—初夏に田植えされた田。
80. 代田(しろた)—初夏に水が張られた田。
81. 田水沸く(たみずわく)—初夏の田に水が張られること。
夏の動物に関する表現
82. 蝉(せみ)—夏に鳴く昆虫。《季 夏》
「しづかさや岩にしみ入る蝉の声/芭蕉」で、『おくのほそ道』の「立石寺」の項に記載されています。松尾芭蕉が元禄2年5月27日(1689年7月13日)に立石寺で詠んだ有名な句です。
83. 蝉の声(せみのこえ)—夏に響く蝉の鳴き声。《季 夏》
84. 蛍(ほたる)—初夏から仲夏に光る昆虫。《季 夏》
85. 蛍火(ほたるび)—蛍の光。
86. 朝顔(あさがお)—初夏に咲く花。《季 夏》
87. 蚊(か)—夏に現れる昆虫。《季 夏》
88. 蝶(ちょう)—夏に活動する昆虫。《季 夏》
89. 蜂(はち)—夏に活動する昆虫。
90. 燕(つばめ)—初夏に子育てをする鳥。
91. 鮎(あゆ)—夏の季語。川に棲む魚。《季 夏》「またたぐひ長良の川の鮎鱠/松尾芭蕉」があります。
夏の植物に関する表現
92. 向日葵(ひまわり)—夏に咲く黄色い大きな花。
93. 紫陽花(あじさい)—初夏から仲夏に咲く花。
94. 夏草(なつくさ)—夏に生い茂る草。《季 夏》松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」という有名な句があります。
95. 新緑(しんりょく)—初夏に芽吹く新しい緑。《季 夏》
夏の言葉に込められた想い
夏は太陽の炎熱が大地を潤し、青々とした緑が生き生きと茂り、蝉の声が響き渡る季節です。こうした夏の躍動感あふれる情趣を表現する日本語の言葉たちを通じて、皆さんも夏をより深く、より美しく感じ取ることができるのではないでしょうか。このページを通じて、気になる言葉があれば更に深く調べてみると面白い発見があるかもしれません。


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